『雑考』は、やわい屋の朝倉圭一さん
が年に2冊のペースで自費出版しているZ I N Eです。
日常の隙間に読みやすいような
小さなサイズ感のコンパクトな一冊。
雑考1 テーマは「民芸」
終盤で展開される仏教、とりわけ菩薩思想とケアの接続は、
本テキストを単なる民藝論から倫理的実践論へと押し広げている。
ここで語られるケアは、問題を解決し「完治」させることではなく、
症状を抱えたまま関係を続ける営みである。
アシタカの呪いが最後まで消えないこと、
菩薩が悟りきらず人の側に留まる存在であることは、
民藝が「完成」や「正解」を拒む姿勢と重ねられる。
民藝とは、救済や理想郷を提示するものではなく、
分からなさや不完全さを抱えた生活に「応える」存在なのだ。
筆者自身の暮らしや〈やわい屋〉の実践も、
この完治しない思想の延長線上に置かれており、
思想と生活が乖離しない構成になっている点は、
本作における最大の注目点である。
ページ数:59頁
文書:朝倉圭一
イラスト:朝倉佳子
デザイン・編集:中島亮二
出版:かそけ舎